エヴォラ ~Évora~
ローマ時代の城壁に囲まれたエヴォラは、アレンテージョ地方の中心都市です。町全体が博物館のようだと形容されるエヴォラ歴史地区は、世界遺産にも登録された町です。
大聖堂 Sé de Évora
エヴォラ歴史地区の中で最も高い丘上にそびえ立つ大聖堂。12~13世紀の、ロマネスク様式からゴシック様式に移行する時代に建てられました。かつて伊東マンショら天正遣欧少年使節も訪れた、日本とも関わりのある教会です。

大聖堂のファザード。ロマネスク様式の外観で、装飾の少ない重厚な造りになっています。なお、ポルトガル国内で最も大きな教会だそうです。

教会の入り口の両サイドに立つ、1330年代に作られたキリストの十二使徒像。

教会の中へ。淡い赤みを帯びたベージュの柱が穏やかな雰囲気を醸し出しています。

とても静かで落ち着いた雰囲気の、楕円形のアーチが連なる回廊。

回廊の中央にある、緑の多い中庭。

回廊に置かれていた棺。椅子代わりにしている不届き者もいました。

回廊から上へ通じる螺旋階段を上ると、教会の屋根に出ることができます。正面に八角形のドームが見えます。

エヴォラで一番高い場所に建つだけあって、その眺めはなかなかです。美しいエヴォラの街並みを一望できます。

荘厳なゴシック様式の礼拝堂。様々な色の大理石で彩られていて美しいです。

分かりにくいですが、右手にあるパイプオルガン。1584年に天正遣欧少年使節がエヴォラを訪れた際、その演奏を聴いたそうです。

中央身廊の金色の祭壇にある、受胎した聖母マリア像(Senhora do Ó)。

大聖堂を別角度から見たところ。中央の大きなバラ窓が目立ちます。
サン・フランシスコ教会 úcleo Museológico Igreja S.Francisco
5000体もの人骨で埋め尽くされた人骨堂(Capela dos Ossos)があることで有名なサン・フランシスコ教会。人骨堂に気を取られ過ぎて教会の観覧時間が終わってしまい、見学できなかったのは心残りです。

15~16世紀にかけて建設された、マヌエル様式とゴシック様式の折衷となる教会です。

博物館のようになっていて、調度品や郷土のおもちゃなども展示されていました。

屋上に出ることもできます。それほど高い建物ではないので、絶景というわけではなかったです。屋上にも展示品がありました。

メインの人骨堂。入口には「私たちはあなたをお待ちしています」と書かれています。かなりのブラックジョークです。

人骨堂は修道士たちが黙想するために作られました。5000体もの人骨は、16世紀に流行したペストや戦争で亡くなった人のものだそうです。

大量の人骨は、修道士たちによってエヴォラの市民墓地から掘り起こして持ってこられたそうです。

骨の前には無粋な透明アクリルの仕切りが立てられていますが、これは以前に骨を持ち帰ってしまったとんでもない人がいたためだそうです。

ペストで亡くなった聖人を描いていると思われる絵。絵の中にもやはり頭蓋骨が…。

奥には大人と子供の二体のミイラも。以前は吊るされて展示されていたそうですが、今ではケースの中に寝転がっています。
カダヴァル公爵邸 Palacio Cadaval
ロイオス教会に隣接し、美しい中庭を持つカダヴァル公爵邸。名前の通りカダヴァル公爵家の所有です。

カダヴァル公爵邸はムーア人の城の廃墟の上に建てられた邸宅で、ムデハル様式、ゴシック様式、マヌエル様式が組み合わさった建築様式です。

二階の展示室には家族の肖像画や宗教美術など、カダヴァル公爵家ゆかりの品々が展示されています。

食堂。いかにも金持ちの家らしく、絵画が飾られています。

中庭はレストランになっています。青空の下、テラス席が気持ち良さそうです。

隣接している修道院は、現在はポサーダ(Pousada)として利用されています。ポサーダとは古城や修道院などを改装した国営ホテルのことです。
ロイオス教会 Igreja dos Lóios
カダヴァル家の所有財産であるロイオス教会。壁一面に彩られた青いアズレージョが見事な教会です。個人的にはエヴォラの観光地ではココが一番好きです。

教会のファザードは、1755年の地震の後にポーチの部分以外を作り直したものだそうです。

教会内に入ると、息を呑むほどに美しいアズレージョが!18世紀初期のもので、聖ローレンスの生涯を表しています。

内壁のアズレージョはアントニオ・デ・オリヴェイラ(Antonio de Oliveira)によって描かれました。

金箔の彫刻が施された祭壇。アズレージョの青色、ゴシック式丸天井の白色との対比が美しいです。

ロザリオの聖母の礼拝堂。金箔の彫刻が施された祭壇にはJosefa deÓbidosの絵画と17世紀の彫刻が飾られています。

床にはカダヴァル家の人たちの名前が刻まれています。先祖たちのお墓になっているのです。
エヴォラ城壁・アグア・デ・プラタ水道橋 Muralhas・Aqueduto da Água de Prata
エヴォラの町をすっぽりと包み込んでいる城壁と、その城壁の外まで続いているアグア・デ・プラタ水道橋。城壁は二重構造になっています。

城壁は1世紀、14世紀、17世紀の3つの時代に作られていて、今残っている大部分は14世紀に作られたものだそうです。

城壁の外にまで伸びる水道橋。サント・アントニオ要塞(Forte de Santo António)まで続いています。アーチの一番高いところは26メートルあるそうです。

水道橋は町に近づくにつれてだんだん低くなり、ついには住居と一体化。歴史ある建造物を壊すことなく、見事に同居しています。
Achoupana
アレンテージョ地方の郷土料理を出すお店 Achoupana に入りました。狭い店内は地元の客でいっぱいです。

Achoupana は入り口が二つあり、それぞれがテーブル席、カウンター席に誘導されます。

決して広くはない店内。空のワイン瓶のレイアウトの仕方が面白いです。

アレンテージョ料理では豚肉のあさり炒めが名物ですが、そのことをすっかり忘れていて、普通に鶏肉を頼んでしまいました。美味しかったですが。
街並み他
他にエヴォラの町で目に付いたもの、気になったものなど。

ディアナ神殿(Templo Romano Évora)。ローマ時代のものですが、イベリア半島に残るローマ神殿の中では比較的保存状態が良いそうです。

北川晶邦氏の彫刻『波立つ海の中に光る満月』。ディアナ神殿前の一等地に立っています。

グラサ教会(Igreja da Graça)。ルネサンス様式の美しい外観の教会です。内部には入れませんでした。

エヴォラの英雄、ジラルド・センパボル(Geraldo sem Pavor)の名を冠したジラルド広場(Praça do Giraldo)。街歩きの起点です。

ジラルド広場にあるサント・アンタオ教会(Igreja de Santo Antão)。エヴォラ大司教のD.Henrique枢機卿によって建てられました。

エヴォラ美術館(Museu de Évora)。かつての司教館を改築して、美術館として使用しているそうです。